ソフトウェア開発に必須のスキル『プロジェクトマネジメント』についてまとめました。ソフトウェアを1つ完成させるためには、多くの人の協力が必要である一方、チームメンバーを計画的にマネジメントし、納期・品質・予算を保証する難易度の高いスキルがプロジェクトマネジメントです。
そもそもプロジェクトとは
まず、プロジェクトマネジメントのスキルを活かす場である「プロジェクト」について触れます。プロジェクトとは商品開発やプログラム開発、建設現場やサービス開発など、専門性を有したメンバーのチームを編成し、特定の目的を達成することを意味します。
プロジェクトには2つの特徴があります。
- 有期性
- 独自性
有期性とは期間が決まっており、始まりと終わりが明確に決まっていることを言います。プロジェクトは、期限までに成果物(プロジェクト活動で生産される) を生み出すことを目指します。
また独自性とは、プロジェクトを遂行するにあたり、他社や他に事例のない要素が含まれていることです。昨今のビジネス環境の変化の早さ、激しさから、ほとんどの仕事は独自性を持っています。プロジェクトはこの独自性をうまく吸収し、目的を達成する必要があります。
PM(プロジェクトマネジメント)について|アイシンク株式会社
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトの目的を達成するためのスキルがプロジェクトマネジメントです。プロジェクトマネジメントは目的を達成するために次の3つを管理します。
- Q:Quality(品質)
- C:Cost(コスト)
- D:Delivery(納期)
プロジェクトマネジメントはPMBOK(Project Management Body of Knowledge)と呼ばれる国際的に標準化された体系的な手法・スキルです。具体的には下記のスキルを定義しており、5つの基本的なプロセス群と10個の知識エリアに分類しています。
5つのプロセス群
- プロジェクトの立上げプロセス群 (Initiating Process Group)
- プロジェクトの計画プロセス群 (Planning Process Group)
- プロジェクトの実行プロセス群 (Executing Process Group)
- プロジェクトの監視・コントロール・プロセス群 (Monitoring & Controlling Process Group)
- プロジェクトの終結プロセス群 (Closing Process Group)
10個の知識エリア
- プロジェクト統合マネジメント
- プロジェクト・スコープ・マネジメント
- プロジェクト・タイム・マネジメント
- プロジェクト・コスト・マネジメント
- プロジェクト品質マネジメント
- プロジェクト人的資源マネジメント
- プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
- プロジェクト・リスクマネジメントプロジェクト
- 調達マネジメント
- プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント
プロジェクトマネジメントをシンプルに考える
上記のようにプロジェクトマネジメントは多くのスキルが体系的にまとめられており、 とっつきにくい印象があります。しかし、実戦にあたり意識することはそう多くありません。プロジェクトマネジメントのスキルを簡単にまとめると下記になります。
目的を確認する
なんども記載していますが、プロジェクトは目的を達成するものであり、逆に言うと目的から生まれます。ポイントは下記です。
数字を明確にする
目的にはできるだけ具体的な数字を入れるようにしましょう。数字を入れることで「目的がちゃんと達成できたか?」を後から検証できるようになります。
成果物を決める
プロジェクトを通して何をアウトプットするのか、その成果物を決める必要があります。目的達成をするための具体的な手段です。重要なのは目的と成果物の整合性が取れていることでしょう。
必要なタスクを洗い出す
目的と手段が決まったら、あとは取り組むタスクを洗い出すだけです。具体的にリストアップしていきましょう。プロジェクトの最初から最後まで一通りシミュレーションし、やるべきことを検討することで、問題点や曖昧な箇所を発見できます。
タスクをリスト化する
シミュレーションが終わったら、タスクをリスト化します。役割・担当者・優先順位を明確にしてリスト化しましょう。ポイントは下記です。
タスクを割り振る
多くの場合、リスト化したタスクを管理者が他のメンバーに割り振ることになるでしょう。割り振る際には、メンバーそれぞれの適性を把握しておくことが重要です。メンバーの希望やスキルに応じて、適切な大きさのタスクを担当させるようにします。
タスクをリスト化できたらあとは実戦あるのみです。随時進み具合を把握し、必要であればタスクを修正してプロジェクトを進める必要があります。
プロジェクト管理の流れ | サルでもわかるプロジェクト管理入門〜タスク管理を使いこなそう〜
プロジェクトマネージャー資格試験
実はプロジェクトマネジメントは国家資格があります。IPA情報処理推進機構が開催する試験、プロジェクトマネージャ試験です。この試験はプロジェクトマネージャを目指す人向けに筆記試験を行い、一定の点数を越えた人に資格を与えます。
IPAによれば、 プロジェクトマネージャに求められるスキルは下記です。
- 必要に応じて個別システム化構想・計画の策定を支援し、策定された個別システム化構想・計画に基づいて、当該プロジェクトの実行計画をプロジェクト計画として立案する。
- 必要となる要員や資源を確保し、プロジェクト体制を確立する。
- 予算、工程、品質などを管理し、プロジェクトを円滑に運営する。進捗状況を把握し、問題や将来見込まれる課題を早期に把握・認識し、適切な対策・対応を実施することによって、プロジェクトの目標を達成する。
- プロジェクトの上位者及び関係者に、適宜、プロジェクトの実行計画、進捗状況、課題と対応策などを報告し、支援・協力を得て、プロジェクトを円滑に運営する。
- プロジェクトの工程の区切り及び全体の終了時、又は必要に応じて適宜、プロジェクトの計画と実績を分析・評価し、プロジェクトのその後の運営に反映するとともに、ほかのプロジェクトの参考に資する。
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験
プロジェクト管理ツール
最後にプロジェクトマネジメントで人気のツールをご紹介します。主にタスクを管理するツールがメインですが、どれもうまく使えば強力にプロジェクトを支援してくれます。
JOOTO
日本のオフィスワーカーの低生産性をなんとか変えることが出来ないか?を追求して開発。
Todoist
Todoistは、Forbes社によるランキングでもNo.1のタスク管理ツールとして紹介されるなど注目されている。
Producteev(プロダクティーヴ)
それぞれのタスクの締め切りをGoogle Calendarへ同期可能な機能を持つ「Producteev」は2つの整理ツールを統合し、タスクを一つ減らしてくれちゃいます。
Trello(トレロ)
- 画像、動画、資料、WEBページも共有できる。
- 複数人の作業がウォール風でリアルタイムで進捗が見える。
Backlog(バックログ)
10ユーザーまでは無料なので、まずプロジェクト管理を試してみるという用途には最適かと思います。また、Backlogにはガントチャートやバーンダウンチャート、Wiki、バージョン管理(Gitも対応)などの機能があります。
【2017年最新版】プロジェクト管理ツール(無料)が便利すぎる - NAVER まとめ
プロジェクトを成功させるためには様々な知識が必要ですが、1つ1つ身につけていくことでスキルアップが可能です。プロジェクトマネジメントは非常に需要の高いスキルなので、ぜひ自分のものにしていきたいところです。
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