コンテナ型仮想化の実装ソフトを提供するDockerが、AmazonクラウドやMicrosoft AzureでDockerを利用するための設定を簡単に行えるツール「Docker for AWS」、「Docker for Azure」をパブリックβ版として公開しました。
Docker for AWS、Docker for Azure
Dockerを特定の環境でクラスタ運用する場合、 CloudFormationのテンプレートやファイヤウォールのルール設定、ロードバランサーの設定など多くのツールを用いて手間のかかる準備が必要でした。
Docker for AWS、Azureはこれらの設定をまとめて自動的に行なってくれるツールで、手間を省いてくれる仕組みです。2016年の6月にDockerCon16で発表された製品になります。
DockerはもともとWindowsやMacで利用するための「Doker for Windows」や「Docker for Mac」を提供していました。これらも特定の環境で必要な煩わしい設定を省くためのツールであり、パブリックβ版として公開されたDocker for AWS、Azureも同様のコンセプトとなっています。
ちなみにDocker for AWSは、AWSのクラウド無料利用枠で動作します。
そもそもDockerとは
開発担当者と運用担当者が連携する「DevOps」を実現する技術コンテナ環境の管理ソフトウェアの代表が「Docker」です。(コンテナ仮想化の1つ)Dockerは、ハードウェアやOSごとの違いを吸収し、すでにアプリケーションやミドルウェアの稼働が確認されているコンテナであれば、他のサーバーに移して動かしても確実に動くことを保証します。
この特性を活かすことでアプリケーション開発者は、OSやインフラの違いを意識することなく、アプリケーションを開発することができます。また運用管理者は、DockerでOSやインフラの安定稼働を保証しておけばよいので、これまでのような開発者と運用担当者がアプリケーションごとの本番環境移行を個別に相談するなどの手間を省くことができます。
Dockerが注目されるようになったのは、Dockerで動作が保証されるコンテナの設定を「Dockerfile」として公開し、他のユーザーと共有できる仕組みを設けた点にあります。 他のユーザーが作ったソフトウェアと、それを動かす手順を他のサーバーでもそもまま再現できるため、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドといった異なるOSやインフラでも動作保証される便利さが評価されています。
Docker for AWSやDocker for Azureのように、クラウドとの連携がスムーズになるにつれ、ますますの普及が予想されます。ハイパーバイザーと呼ばれる専用のソフトウェアを必要とする仮想サーバーと比較すると、DockerはOSの基本機能として組み込まれていくため、より気軽に利用できるメリットがあります。Dockerを代表とするコンテナ仮想化は、サーバー仮想化よりも身近にかつ便利な存在として使われていきそうです。
参考記事
「Docker for AWS」「Docker for Azure」相次いでパブリックベータに。クラウドでDockerを使うための環境を一括構築。AWS無料利用枠で利用可能
コレ1枚で分かる「Docker」 - ITmedia エンタープライズ
注目を浴びる「Dockerコンテナ」、従来の仮想化と何が違うのか? | コラム | 東京エレクトロン デバイス株式会社
おすすめ記事